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背景
片頭痛と並んで眼瞼痙攣も強い羞明の自覚により患者のQOLが大きく阻害される。欧米ではこれらの疾患に対する着色レンズの有効性が報告されているが,本邦ではいまだ検討されていない。
目的
短波長光のカット率の異なる2種の遮光レンズ眼鏡装用で,羞明が改善するか,またカット率の差で羞明の改善率に差がみられるかを検討する。
対象および方法
兵庫医科大学病院を受診した羞明を訴える眼瞼痙攣の初診患者20例とA型ボツリヌス毒素(BTX-A)治療中の再診患者12例を対象とした。初診患者では2種類の遮光レンズをそれぞれ4週間計8週間,再診患者では両者を適宜4週間装用させ,装用前後および装用レンズ間の羞明の自覚をvisual analogue scale(VAS)で評価した。2種のレンズは分光透過率に比視感度を乗じた面積比である視感透過率がほぼ同じ75%前後であるが,短波長光のカット率に差があるもの(YE:85%,PN:52%)を使用した。また初診患者ではBTX-A注射を回避できるかも検討した。
結果
装用前のVASは76.0で,装用後にはYEは39.3,PNは48.1と,ともに有意に改善した。また,YEとPNの装用前を100%とした改善率の比較においては,初診群,再診群,全体群でYEがそれぞれ10%以上良好であったが,有意とまではいえなかった。また初診群で2例(10%)がYE装用,1例(5%)がPN装用により羞明の著明な減少を認め,引き続いてのBTX-A注射を希望しなかったが,再診群ではBTX-A注射を終了できたものを認めなかった。
結論
眼瞼痙攣患者ではその羞明の軽減に遮光レンズは有効で,特に短波長光のカット率の高いレンズが望ましい。また患者総数の1割以上で遮光レンズのみで満足し,BTX-A治療を回避できる可能性がある。
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