症例報告
原因不明のぶどう膜炎により黄斑円孔が閉鎖した1例
室野 真孝
1
,
大前 恒明
2
,
十川 健司
2
,
吉田 晃敏
2
1遠軽厚生病院眼科(紋別郡遠軽町)
2旭川医科大学眼科学講座
キーワード:
黄斑円孔
,
自然閉鎖
,
交感性眼炎
,
裂孔原性網膜剥離
,
ぶどう膜炎
,
網膜色素上皮
Keyword:
黄斑円孔
,
自然閉鎖
,
交感性眼炎
,
裂孔原性網膜剥離
,
ぶどう膜炎
,
網膜色素上皮
pp.251-257
発行日 2021年3月5日
Published Date 2021/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002059
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黄斑円孔(macular hole)は自然閉鎖することがあり,その機序として,硝子体による前方への牽引解除,円孔基底部におけるグリア細胞の増殖,細胞内層の架橋形成,網膜前膜の収縮などがこれまでに考えられてきた。今回われわれは交感性眼炎と思われる原因不明のぶどう膜炎の発症に伴い黄斑円孔が自然閉鎖した症例を経験し,光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)により閉鎖過程を観察できたので報告する。
症例は47歳,女性。右眼の視力低下を主訴に当院を紹介受診され,右眼眼底に黄斑円孔(Gass分類stage 2)を認めた。初診より1か月後,右眼の手術待機中に左眼の視力低下を自覚し,当院を受診した。左眼の裂孔原性網膜剥離を認め,2度の硝子体手術を施行され,網膜は復位した。左眼の2度目の手術から3週間後,原因不明のぶどう膜炎を発症した。ぶどう膜炎発症時,初診時にみられた右眼の黄斑円孔は縮小していたが,硝子体による牽引はそのまま,開存の状態であった。ぶどう膜炎に対して,入院してステロイドパルス療法を行い,ぶどう膜炎は改善し,治療開始1か月後,硝子体の牽引は解除されないまま,OCTで黄斑円孔が閉鎖していることを認めた。
黄斑円孔と原因不明のぶどう膜炎の発症に伴い,脈絡膜の肥厚と蛇行が生じた結果,円孔径が縮小し,硝子体の牽引解除が起きていない状態で閉鎖に至った1症例を報告した。
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