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クリニックで診るときのポイント
ぶどう膜炎は発症当初は全例が原因不明である.眼科施設を受診し,眼所見や全身症状,検査所見を踏まえて診断基準などにより原因病名がつけられていく.ぶどう膜炎は大きく内因性(非感染性),感染性,腫瘍性(仮面症候群),特発性に分類される(表1)1).内因性ぶどう膜炎にはBehçet病,Vogt-小柳-原田病,サルコイドーシスなどが含まれ,感染性ぶどう膜炎にはヘルペス性虹彩炎や細菌性眼内炎などが含まれる.特発性ぶどう膜炎とは,ぶどう膜炎の原因精査を行ってもぶどう膜炎を起こした原因病名が決められない症例を指す.感染性ぶどう膜炎では消炎治療に加え,抗菌薬(抗ウイルス薬)の投与が必要であり,腫瘍性では抗がん剤や放射線治療が必要となる.ぶどう膜炎は原因疾患によって治療はかなり異なるため,クリニックにおいても初診時に十分な問診,診察,検査を行って,診断病名をつける努力をすることが大切である.
ぶどう膜炎の鑑別診断では,眼内の炎症所見に加え,ぶどう膜炎に関連する全身疾患の有無や画像検査,血液検査などの結果から診断基準などに基づいて診断病名を特定する.ぶどう膜炎の鑑別に際しては,4つのチェックポイント〔①炎症の解剖学的局在(前部,後部,汎ぶどう膜炎),②両眼性・片眼性,③炎症の性状(肉芽腫性・非肉芽腫性),④急性・慢性〕に注目して原因疾患を絞り込むとわかりやすい1).主なぶどう膜炎疾患の診断法は,日本眼炎症学会が作成した「ぶどう膜炎診療ガイドライン」に記載されており,日本眼科学会のホームページからダウンロード可能である2).
クリニックでできるぶどう膜炎の鑑別診断のやり方を表2に示す.Behçet病は4つの主症状(口腔内アフタ,皮膚病変,陰部潰瘍,眼病変),5つの副症状(関節症状,血管症状,消化器症状,神経症状,副睾丸炎)から診断する疾患であり2),特別な検査は必要ない.しかし,ぶどう膜炎が急性・再発性であることや,非発作時にも蛍光眼底造影でシダ状蛍光漏出をみることが多いなど,Behçet病ぶどう膜炎として矛盾しないことを確認しておきたい.診断病名が確定すれば,その疾患で推奨されている治療を行う.主なぶどう膜炎疾患の治療法もぶどう膜炎診療ガイドライン2)に記載されているので,参照していただきたい.
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