症例報告
ICE症候群に対する線維柱帯切除術後にocular decompression retinopathyが生じた1例
山名 美樹
1
,
田片 将士
2
,
前田 裕宇樹
2
,
横山 弘
2
,
五味 文
2
1宝塚市立病院眼科(宝塚市)
2兵庫医科大学眼科学教室
キーワード:
ocular decompression retinopathy
,
網膜出血
,
線維柱帯切除術
,
retinal hemorrhage
,
trabeculectomy
Keyword:
ocular decompression retinopathy
,
網膜出血
,
線維柱帯切除術
,
retinal hemorrhage
,
trabeculectomy
pp.259-265
発行日 2021年3月5日
Published Date 2021/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002060
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ICE症候群による続発緑内障に対するマイトマイシンC併用線維柱帯切除術施行後にocular decompression retinopathyをきたした1例を報告する。
33歳女性,左眼に違和感,羞明を自覚し近医を受診したところ,左眼に眼圧上昇を認めた。点眼でも十分な眼圧下降が得られなかったため兵庫医科大学病院紹介受診となった。初診時,左眼の眼圧は38mmHg,角膜浮腫,広範囲に及ぶ虹彩前癒着,瞳孔偏位がみられ,スペキュラーマイクロスコープ所見において角膜内皮の形態異常を認めたことよりICE症候群による続発緑内障と診断した。続発緑内障に対し線維柱帯切除術を施行した。術6日目に眼底に斑状出血が多数みられ,蛍光眼底造影検査では網膜出血と一致する蛍光ブロックと視神経乳頭からの蛍光漏出,光干渉断層計では網膜内出血がみられた。以上よりocular decompression retinopathyと診断した。保存的に経過観察したところ,約1か月で網膜出血は消失した。
術前高眼圧を認める場合,急激な眼圧下降に伴いocular decompression retinopathyが生じることがあるため,急激な眼圧下降を避けることが重要であり,術後注意深く網膜出血の有無を確認することが必要である。
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