非動脈炎性前部虚血性視神経症に伴った半側網膜中心動脈閉塞症の1例

非動脈炎性前部虚血性視神経症に伴った半側網膜中心動脈閉塞症の1例を報告する。

66歳女性が左眼の霧視を主訴に受診した。左眼は視力（1.2）で，視神経乳頭は浮腫状で，辺縁が不明瞭，乳頭周囲に火焔状の網膜前出血，一部硝子体出血があった。また，鼻下側から耳上側にかけて網膜浮腫がみられた。フルオレセイン蛍光眼底造影検査では網膜浮腫の範囲に一致した網膜動脈の造影遅延がみられ，半側網膜中心動脈閉塞症と考えられた。初診から6週間後，乳頭浮腫は改善し，乳頭周囲に網膜下出血が確認された。初診から10週間後，再度フルオレセイン蛍光眼底造影検査を施行し，閉塞がみられた上方の網膜動脈は下方の網膜動脈とは離れて，乳頭の鼻上側縁から走行していることが観察された。視野検査では下方の水平半盲がみられた。以上から，本症例にみられた半側網膜中心動脈閉塞症は非動脈炎性前部虚血性視神経症に伴う乳頭浮腫と乳頭部における特異な血管構築によって生じたものと推測した。さらに，乳頭周囲出血は，乳頭浮腫によって乳頭周囲毛細血管が破綻したことが原因のintrapapillary hemorrhage with adjacent peripapillary subretinal hemorrhageと考えた。