症例報告
高度貧血を伴った眼瞼結膜扁平上皮癌の1例
山本 拓人
1
,
馬詰 和比古
1
,
後藤 浩
1
1東京医科大学臨床医学系眼科学分野
キーワード:
眼瞼結膜
,
扁平上皮癌
,
貧血
,
止血
,
放射線治療
Keyword:
眼瞼結膜
,
扁平上皮癌
,
貧血
,
止血
,
放射線治療
pp.1475-1480
発行日 2020年12月5日
Published Date 2020/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001961
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58歳の男性が,左下眼瞼内側の腫瘤の存在に気付き,紹介受診となった。眼瞼結膜側から病変部の生検を施行したところ良性のリンパ増殖性疾患が疑われたため,プレドニゾロン内服治療を開始したが効果はみられなかった。改めて皮膚側からの生検を計画したが,通院が途絶えた。その約10か月後,左眼の眼瞼結膜から露出する大きな腫瘤と,同部位からの持続する出血に起因する貧血を主訴に再受診となった。鉄剤投与および濃厚赤血球製剤による治療を行い,全身状態が改善した後に再度生検を施行したところ,扁平上皮癌の診断に至った。出血は持続し止血に難渋したが,アルギネート創傷被覆材の貼付などによって制御され,放射線療法により腫瘍は縮小,貧血も改善した。
眼付属器に発生した扁平上皮癌では,貧血に至るほどの出血をきたす可能性がある。
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