特集 覚えておきたい神経眼科疾患
Ⅰ.視神経疾患 5.非動脈炎性前部虚血性視神経症
澤村 裕正
1
1東京大学医学部眼科学教室
pp.1265-1272
発行日 2021年12月24日
Published Date 2021/12/24
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002406
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
虚血性視神経症は視神経への血液供給が不十分なために生じる病態であり,急性に重篤な視機能障害を生じ得る。虚血性視神経症はその原因および障害された部位により分類される。原因による分類として,巨細胞性動脈炎などの血管炎により生じる動脈炎性虚血性視神経症と,血管炎を伴わない非動脈炎性虚血性視神経症とに大きく分類される。その他にまれではあるが脊椎手術など外科手術後の周術期に生じるものがある。動脈炎性虚血性視神経症は日本人にはまれではあるが,視力障害が強く,片眼発症後に僚眼にも発症することもあり,適切な診断と加療が必要である。また,障害部位による分類として,血流障害が生じた部位により,視神経乳頭部への血流障害を生じた前部虚血性視神経症(約90%を占めるとされている)と,乳頭部より後方に血流障害を生じた後部虚血性視神経症とに分類される1)~3)。視神経乳頭部は短後毛様動脈の血流支配を受け,後部は軟膜血管叢と網膜中心動脈分枝の血流支配を受け,また,乳頭部は分節状に血流支配を受けており,分節状の障害を生じる1)。本稿では最も高頻度とされる非動脈炎性前部虚血性視神経症について概説する2)。動脈炎性虚血性視神経症に関しては別項を参照されたい。
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.