症例報告
頭蓋内に線維性骨異形成とTolosa-Hunt症候群を併発した動眼神経麻痺の1例
戸部 洋佑
1
,
薄井 紀夫
1
,
大関 尚行
1
,
猪狩 栄利子
1
,
小島 利彦
2
,
内海 通
1
1総合新川橋病院眼科(川崎市)
2総合新川橋病院脳神経外科(川崎市)
キーワード:
線維性骨異形成
,
動眼神経麻痺
,
Tolosa-Hunt症候群
Keyword:
線維性骨異形成
,
動眼神経麻痺
,
Tolosa-Hunt症候群
pp.671-675
発行日 2021年7月5日
Published Date 2021/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002190
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眼科診療において,眼瞼下垂や眼球運動障害などから動眼神経麻痺を疑う症例に遭遇する機会は少なくない。動眼神経麻痺は,脳動脈瘤や脳出血あるいは脳梗塞などによる脳血管障害により引き起こされることが多いが,その他,上眼窩裂近傍の異常(上眼窩裂症候群,海綿静脈洞症候群,眼窩先端症候群)なども原因となり得る。今回,動眼神経麻痺の原因として,当初は頭部computed tomography(CT)検査で認めた線維性骨異形成による眼窩先端症候群の可能性を考えたが,その後施行した頭部造影magnetic resonance imaging(MRI)検査で,海綿静脈洞部の肉芽腫性炎症ならびに動眼神経への炎症浸潤が認められたためにTolosa-Hunt症候群による海綿静脈洞症候群と診断し,ステロイド療法により寛解した症例を経験した。これまでに頭蓋内に線維性骨異形成とTolosa-Hunt症候群を合併した報告がなく,動眼神経麻痺の原因同定に苦慮したが,動眼神経麻痺を疑った際には頭部CT検査に加えて頭部造影MRI検査が,またTolosa-Hunt症候群を疑った際には早期のステロイド療法が極めて重要であることが再認識された症例であった。
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