臨床報告
進行乳癌の脈絡膜転移治療2年後に発症した放射線網膜症の2例
河西 広志
1
,
古畑 優貴子
1
,
福田 佳子
1
,
飯島 裕幸
1
1山梨大学医学部眼科学講座
キーワード:
乳癌
,
転移性脈絡膜腫瘍
,
放射線網膜症
,
breast cancer
,
metastatic choroidal tumor
,
radiation retinopathy
Keyword:
乳癌
,
転移性脈絡膜腫瘍
,
放射線網膜症
,
breast cancer
,
metastatic choroidal tumor
,
radiation retinopathy
pp.1541-1548
発行日 2019年12月5日
Published Date 2019/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001483
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いずれもStage Ⅳの進行乳癌でホルモン療法を受けていた40歳代の女性症例2例が片眼の視力障害,または光視症を主訴に眼科へ紹介となった。2例とも片眼に漿液性網膜剥離を認め,フルオレセイン蛍光造影検査(FA)では同部位の砂粒状の過蛍光領域,造影MRIにおいて造影効果を要する眼球壁の肥厚を認め,乳癌の転移性脈絡膜腫瘍と診断した。2例とも転移巣に対する放射線治療45Gyを受け,転移巣は網膜萎縮を残し小康を得た。しかし,約2年後に,1例は両眼に,もう1例は乳癌転移のなかった僚眼に網膜出血,軟性白斑が出現。FAにより放射線曝露域に一致する区域的な無灌流領域を認め,放射線網膜症と診断した。悪性腫瘍の脈絡膜転移に対する放射線治療は従来,緩和療法として捉えられてきたが,生命予後良好の乳癌では治療後の長期間,放射線網膜症に留意してフォローする必要がある。
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