特集 第1部 最近の眼科薬物治療 Ⅴ.網膜疾患
1 黄斑浮腫の抗VEGF剤治療
小暮 朗子
1
1東京女子医科大学眼科学教室
キーワード:
抗VEGF剤治療
,
糖尿病黄斑浮腫
,
網膜中心静脈閉塞症
,
網膜静脈分枝閉塞症
,
ラニビズマブ
,
アフリベルセプト
Keyword:
抗VEGF剤治療
,
糖尿病黄斑浮腫
,
網膜中心静脈閉塞症
,
網膜静脈分枝閉塞症
,
ラニビズマブ
,
アフリベルセプト
pp.1101-1107
発行日 2019年9月30日
Published Date 2019/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001370
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抗VEGF剤治療は,黄斑浮腫をきたす代表的疾患である糖尿病網膜症と網膜静脈閉塞症に対して最も確実に視力改善をもたらす方法として広く認識されている。しかしながら,ラニビズマブは,2013年8月に網膜静脈閉塞症,2014年2月に糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)の使用承認,アフリベルセプトは,2013年11月に網膜中心静脈閉塞症(central retinal vein occlusion:CRVO),2014年11月にDME,2015年6月に網膜静脈閉塞症へと適応拡大となっており,その使用経験は10年に満たない。大規模試験では,抗VEGF剤治療の有効性と安全性が高いエビデンスをもって示され,実際の臨床でも従来治療と比較にならない効果を享受している一方で,高額な薬剤費は患者個人のみならず,本邦の医療費全体を圧迫していることも事実である。抗VEGF剤治療一辺倒ではなく,その投与方法,従来の治療との併用療法などを勘案しながら,抗VEGF剤を主軸にした個別化治療を考えていくべき時期でもある。本稿では,これまでの代表的な大規模試験の要旨と,当院で行っている主な治療方法について触れたい。
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