綜説
新生血管型加齢黄斑変性での抗VEGF薬の切り替え
片岡 恵子
1
1杏林大学医学部眼科学教室
キーワード:
抗VEGF薬の切り替え
,
ラニビズマブ
,
アフリベルセプト
,
ブロルシズマブ
,
ファリシマブ
Keyword:
抗VEGF薬の切り替え
,
ラニビズマブ
,
アフリベルセプト
,
ブロルシズマブ
,
ファリシマブ
pp.721-725
発行日 2025年8月5日
Published Date 2025/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004248
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新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)に対する現在の標準治療は抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬である。さまざまな臨床試験において導入期における視力の改善と維持期における視力の維持が報告され,抗VEGF薬は治療の第一選択薬となっている。この維持期の治療であるが,ラニビズマブのMARINA/ANCHOR試験では毎月投与1)2),アフリベルセプトのVIEW1/VIEW2試験では8週ごとの固定投与が行われたが3),実際の臨床ではnAMDの活動性に応じて活動性が出現したら投与を行うpro re nata(PRN)もしくは活動性に応じて投与間隔を調整するtreat-and-extend(T&E)が選択されることが多い。現在,nAMDに対するPRNでは長期的な視力維持は困難であることが知られており4),より治療成績の良好なT&Eでの治療が主流となっている。では,何故,今ここで“抗VEGF薬の切り替え”を議論する必要があるのか。それは,T&Eにより長期にわたり良好な視力の維持が可能となったとはいえ,ある一定の割合で毎月もしくは8週ごと投与といった頻回の治療を要する患者が存在し5),患者自身だけでなく介護者や医療経済に対しても負担が増大しているためである。そのため,より効果が強い,もしくはより長く効果が持続する治療が求められている。本稿では,既存の薬剤で頻回の投与を要するような治療抵抗例において薬剤の切り替えを行う時に参考にしたい過去のデータや各薬剤の長所短所をもとに薬剤の切り替えについて考える(表1)。

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