綜説
先天鼻涙管閉塞の診断と治療
松村 望
1
1神奈川県立こども医療センター眼科(横浜市)
キーワード:
先天鼻涙管閉塞
,
色素残留試験
,
プロービング
,
自然治癒
,
涙道内視鏡
Keyword:
先天鼻涙管閉塞
,
色素残留試験
,
プロービング
,
自然治癒
,
涙道内視鏡
pp.153-158
発行日 2019年2月5日
Published Date 2019/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001047
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
先天鼻涙管閉塞の診断と治療は,近年大きな議論と変化がみられる領域である。従来わが国においては,診断は涙管通水試験を行い,治療は生後6か月未満の早期に,局所麻酔下でプロービング(ブジー)を行うことが一般的であった。しかし近年,診断はまず色素残留試験を行い,治療は一定期間自然治癒を待ってから,必要最小限にプロービングを行うことを推奨する意見が増えた。自然治癒を待ってからの治療が増えた結果,不要なプロービングとこれに伴う合併症が減少したと考えられる一方で,早期プロービングを保護者が希望しても受けられない,体動制御ができないほど高月齢になってから局所麻酔での治療を希望する,全身麻酔での涙道手術に対応できる施設が少ない,などの問題点もある。先天鼻涙管閉塞の治療時期に関しては,世界的にみてまだ十分なエビデンスが確立されていない。本稿ではこのような現状を踏まえ,先天鼻涙管閉塞の診断と治療について,過去の知見を整理し,現状での診断・治療の方針と今後の展望について述べたい。
Copyright © 2019, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.