Ⅰ.主訴からみた診断の進め方
15 流涙
白石 敦
1
1愛媛大学医学部眼科学教室
pp.1055-1060
発行日 2018年9月30日
Published Date 2018/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000826
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涙液は涙腺から分泌され,眼表面を潤した後に涙道へ導かれ,鼻腔に排出されるが,この分泌と導涙のバランスが崩れたときに流涙症状が起きる。流涙は涙液分泌亢進による分泌性流涙(lacrimation)と,導涙機能の低下による導涙性流涙(epiphora)に分けられる。流涙の原因は必ずしもひとつではなく,いくつかの要因が関わりあって起こることも多いため,涙腺,眼瞼,眼表面,涙道,鼻腔のすべての部位における可能性を念頭に置いて診察することが重要である。治療は,発症に強く関与している要因から,そして侵襲性の低い治療から優先して治療計画を立てることが大切である。流涙をきたす代表的な病態は涙道疾患であるが,近年,鼻内視鏡を用いた鼻腔手術の進歩による涙嚢鼻腔吻合術(DCR)鼻内法や涙道内視鏡を用いた涙管チューブ挿入術により治療方法の選択が大きく変わってきている。本稿では,流涙の診断と涙道疾患の治療について解説する。
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