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特集 涙器涙道手術の最近の動向
流涙症の診断
The diagnosis of epiphora
大江 雅子
1
Masako Oe
1
1多根記念眼科病院
pp.1508-1516
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212948
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はじめに
流涙は外来診療において頻繁に遭遇する症状で,涙がにじんだり,あふれる状態をさす。流涙は強い不快感でなく,あふれる涙が眼瞼皮膚の炎症を惹起させることも多い。また最近では,視機能をも障害することがわかってきている。
従来,流涙症は涙液分泌亢進による分泌性流涙(lacrimation)と涙道通過障害による導涙性流涙(epiphora)に分けられる(表1)。分泌性流涙の原因には結膜炎や異物,睫毛乱生,ドライアイなどがあり,導涙性流涙の原因としては主に涙道狭窄・閉塞が挙げられる。分泌性・導涙性いずれの流涙症の原因にもなりうる疾患に結膜弛緩症や眼瞼疾患がある(図1)。流涙症が必ずしも涙道閉塞(狭窄)でないことは今や周知の事実であるが,流涙の原因となる疾患は「眼瞼」「眼表面」「涙道」の3領域に存在している。高齢者の流涙の多くは結膜弛緩により涙点までの連続性がブロックされたり,眼瞼下垂や下眼瞼の弛緩(外反症含む)によりポンプ機能が低下している。加えて,涙道狭窄・閉塞やドライアイにより眼表面の反射が亢進している場合も多く,流涙の原因は多くの因子が複雑に絡み合っており,前述の通り,原因を涙道閉塞のみに求めないことを理解することが大切である。
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