Ⅰ.主訴からみた診断の進め方
14 眼脂
江口 洋
1
1近畿大学医学部眼科学教室
pp.1050-1054
発行日 2018年9月30日
Published Date 2018/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000825
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眼脂は,涙液中の分泌型ムチンが眼表面の不要な残渣物を絡め取ったものである。角結膜上皮における代謝産物,眼外から眼表面に飛入した異物,不要な微生物などを含む。正常眼でも常に分泌されており,微量であれば涙嚢へ流れてしまい患者の訴えにつながらない。しかし,就寝中は涙液の基礎分泌が減り眼表面のクリアランスが低下するため,起床時に内眼角に微量付着していることがある。そのことを眼科医の前で「目ヤニが出た」と訴え薬を求める患者が多いが,そのような正常範囲の眼脂に対して,何かの点眼薬を処方する必要はない。日常診療では,正常範囲の眼脂と病的意義のある眼脂との鑑別が必要である。「目ヤニ」の訴えに対して,問診での鑑別をすることなく一律に抗菌点眼薬を処方してはならない。
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