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目的
強膜内固定術と毛様溝縫着術の手術結果を比較する。
対象と方法
順天堂大学医学部附属練馬病院で,眼内レンズ(IOL)脱臼眼,水晶体脱臼眼,および術後無水晶体眼に対し,2012年11月から2017年3月に強膜内固定術を施術した46例48眼と,2005年8月から2015年3月に毛様溝縫着術を施術した20例22眼(77.6±14.5歳)の診療録を遡り,手術歴,術後屈折値と予測屈折値の差,惹起角膜乱視,術前後の視力の変化,術後合併症,等について比較した。
結果
両術式ともに,IOL嚢内固定後のIOL脱臼眼が半数以上を占めた。術後屈折値に関して,強膜内固定術26眼の平均は,予測屈折値+1.27±1.16D,毛様溝縫着術14眼の平均は,予測屈折値+1.34±1.50Dであった。惹起角膜乱視は,強膜内固定術46眼で平均−0.31±0.90D,毛様溝縫着術20眼で平均−2.15±1.85Dとなり,有意に毛様溝縫着術で大きかった(P<0.01)。術前後のlogMAR視力の変化は,強膜内固定術48眼で平均−0.29±0.51,毛様溝縫着術22眼で平均−0.35±0.51であり,両術式の間に有意差を認めなかった(P=0.62)。術後合併症に関して,術後低眼圧は強膜内固定術で9眼(19%),毛様溝縫着術で5眼(23%),術後高眼圧は強膜内固定術で1眼(2%),毛様溝縫着術で3眼(14%),硝子体出血は,強膜内固定術で5眼(10%),毛様溝縫着術で2眼(9%),網膜剥離は強膜内固定術で2眼(4%),毛様溝縫着術で1眼(5%),IOL脱臼は強膜内固定術のみで4眼(8%)認められた。
結論
IOL度数の術前選定方法に関して両術式ともに今後の検討が必要となった点,術後合併症に関して両術式に有意な差はなかったが,惹起角膜乱視量は毛様溝縫着術のほうで有意に大きく,術後のIOL脱臼は強膜内固定術のみに認められた点には,今後留意すべきである。
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