原著
眼瞼挙筋短縮術前後における涙液クリアランス
後藤田 遼介
1
,
渡辺 彰英
1
,
横井 則彦
1
,
山中 行人
1
,
中山 知倫
1
,
外園 千恵
1
1京都府立医科大学大学院視覚機能再生外科学
キーワード:
眼瞼下垂
,
涙液貯留量
,
涙液クリアランス
,
ptosis
,
tear volume
,
tear clearance
Keyword:
眼瞼下垂
,
涙液貯留量
,
涙液クリアランス
,
ptosis
,
tear volume
,
tear clearance
pp.725-731
発行日 2018年7月5日
Published Date 2018/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000721
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目的
眼瞼下垂手術が涙液クリアランスに及ぼす影響を明らかにすること。
対象と方法
対象は後天性眼瞼下垂に対して上眼瞼挙筋短縮術を施行した24例28側〔男性1例,女性23例,平均年齢69.4±12.81歳(41~89歳),片側20例,両側4例〕である。方法は術前後のMRD-1値を測定し,その平均値を比較した。また,涙液貯留量の測定には簡便かつ非侵襲であり,高精度の涙液貯留量を計測することが可能であるビデオメニスコメトリーを用いた。この装置を用いて術前,術後1か月,3か月,6か月における涙液メニスカス曲率半径(R)(mm)を測定し,その平均値を比較した。またBSS点眼液点眼直後,および点眼後10分まで計11回,涙液メニスカスの曲率半径(R)を測定する涙液クリアランステストを術前および術後1,3,6か月の時点で施行し,その平均値を比較した。
結果
術後各時点のMRD-1の平均値は術前と比較してそれぞれ有意に増加した(P<0.01)。術後各時点のRの平均値は術前と比較してそれぞれ有意に減少した(P<0.01)。また,術後3か月での点眼2,3,5,6,7,8,9分後,術後6か月での点眼1,2,3,4,5,6,7,8分後におけるクリアランス率は,術前より有意に減少した(P<0.05)。また,術後3か月のMRD-1の増加量と術後3か月の点眼3分後のクリアランス率,術後6か月のMRD-1の増加量と術後6か月の点眼1分後のクリアランス率に有意な相関関係を認めた。
結論
眼瞼下垂手術によって涙液貯留量は減少した。また,涙液クリアランスは改善することが示唆された。
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