眼科手術の適応―最新情報
8.網膜硝子体 6)網膜裂孔のレーザー光凝固
馬場 隆之
1
1千葉大学大学院医学研究院眼科学
キーワード:
網膜裂孔
,
萎縮円孔
,
後部硝子体剥離
,
自覚症状
Keyword:
網膜裂孔
,
萎縮円孔
,
後部硝子体剥離
,
自覚症状
pp.1244-1248
発行日 2017年9月30日
Published Date 2017/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000169
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裂孔原性網膜剥離は,従来の強膜バックリング手術に加えて,硝子体手術の進歩により,一部の特殊な難治性網膜剥離を除いて初回網膜復位が90%以上の症例で得られ,最終的にはほぼ全例に近い網膜復位成績が多くの施設から報告されている。このように,解剖学的な網膜復位は得られるようになっているが,機能的な面での回復がすべての症例で得られるわけではない。剥離網膜における視細胞アポトーシスは剥離後すぐに始まり,数日でそのピークを迎えるが,網膜復位後も視細胞外節が形態的に回復するのには数週間を要することが実験的網膜剥離モデルを用いて示されている。このことから,一度網膜剥離を生じると,たとえ網膜復位が得られても網膜機能障害が残ることは避けられず,黄斑網膜が剥離した際には,術後の機能障害は歪視や中心視力低下といった形で残ることになる。眼球が感覚器である以上,より良い機能の維持を目指すことは眼科医にとっての使命であり,たとえ手術で失明を免れることができても,見えることを守れなければ目標は残念ながら達成されていない。そこで,予防手術により網膜剥離自体を生じさせないという努力の必要性が生じてくる。
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