プロテインC欠乏症を伴ったDarier病の1例

48歳女性。プロテインC欠乏症(PC)欠乏症の既往をもつ。今回、両下肢の角化性皮疹と左下肢の皮膚潰瘍を主訴に他院を受診後、精査目的で紹介となった。初診時、右下腿に淡茶色の角化性丘疹が集簇し、左下腿には小びらんを伴う褐色調角化局面がみられ、左外踝には皮膚潰瘍を認めた。爪には白色縦線条、脆弱･粗そう化と爪端にV字型ノッチを認め、眉毛付近には角化を伴う紅斑がみられた。病理組織学的に角化性皮疹部の表皮細胞間には棘融解性裂隙形成を認め、ATP2A2遺伝子変異が確認された。PC欠乏症を伴うDarier病と診断された。本症例はPC欠乏症に対しワルファリンカリウムを内服中であったが、経過中に肺動脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症の症状があり、皮膚潰瘍も微小血栓が関与した可能性は否定できなかった。角化性皮疹に対してはテトラサイクリン塩酸塩にて感染徴候改善後、ステロイド軟膏とヘパリン類似物質に変更し、減少傾向がみられた。左外顆の皮膚潰瘍はアルプロスタジルアルファデクス軟膏外用により1年で上皮化が得られた。