症例
温熱性紅斑からリベド様皮疹を呈するNecrobiosis Lipoidicaを生じた1例
大久保 絢香
1
,
高橋 和宏
,
赤坂 俊英
1岩手医科大学 皮膚科学教室
キーワード:
Prednisolone
,
多剤併用療法
,
経口投与
,
経皮投与
,
リポイド類壊死症
,
Prednisolone Farnesylate
,
Prostaglandin E1-Alpha-Cyclodextrin
,
紅斑-熱性
,
皮膚結節性動脈周囲炎
Keyword:
Administration, Oral
,
Administration, Cutaneous
,
Drug Therapy, Combination
,
Necrobiosis Lipoidica
,
Prednisolone
,
Prostaglandin E1-alpha-cyclodextrin
,
Prednisolone Farnesylate
pp.572-576
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280959
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症例は56歳女性で、冬季に赤外線電気こたつを両脚の前で頻回に使用し、また頻回の半身浴を繰り返し"火だこ"を生じていた。約1年後に暖房をとった後、両下腿にそう痒を伴う紅斑を生じ徐々に紅斑から網状皮斑へ変化した。近医を受診し、外用薬で加療したが同部位に多発性の虫食い状皮膚潰瘍が出現し、精査加療のため紹介受診した。両下腿全周性に比較的境界明瞭な光沢ある褐色斑と紅色の網状皮斑がみられ、網状皮斑上に3~12mm大までの虫食い状の皮膚潰瘍が散在した。潰瘍部分に疼痛を自覚したが他の部分に自覚症を欠いた。血算、生化学一般に異常所見はなく、HbA1c値、血清ACE値、リゾチーム値はいずれも正常範囲であった。また免疫学的検査で抗核抗体、抗ds-DNA抗体、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体、リウマトイド因子、抗カルジオリピン抗体いずれも陰性であった。表皮は一部萎縮性であるが多くの部分で表皮突起がやや延長し、真皮中層から深層にかけ広範囲に染色性が低下した膠原線維がやや増生する部分を認め、これを取り囲んで類上皮細胞、リンパ球からなる細長い柵状肉芽腫巣を散見した。真皮下層では小血管周囲性に軽度のリンパ球浸潤と血管周囲および血管壁にフィブリン沈着あるいは血栓形成を認め、ムチン沈着はなかった。プレドニゾロン(PSL)内服、プレドニゾロンファルネシル酸エステルゲル外用で治療したが1ヵ月後にPSL内服を中止し、ステロイド外用剤、タクロリムス軟膏外用、抗血小板薬内服を試みたが効果は乏しく、アルプロスタジルアルファデクス軟膏を外用し加療継続中で、初診時より下腿の潰瘍部は上皮化し縮小傾向であるが網状皮斑は残存している。
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