症例
2度の妊娠を契機に増大し多彩な組織像を呈した悪性黒色腫
大西 正純
1
,
前田 文彦
,
佐藤 隆亮
,
馬場 俊右
,
高橋 和宏
,
赤坂 俊英
,
中村 浩昭
1岩手医科大学 皮膚科学教室
キーワード:
Interferons
,
黒色腫
,
人工皮膚
,
妊娠合併症-腫瘍性
,
皮膚移植
,
皮膚疾患-足部
,
皮膚腫瘍
,
免疫組織化学
,
リンパ節郭清
,
皮膚鏡検査
Keyword:
Foot Dermatoses
,
Interferons
,
Immunohistochemistry
,
Melanoma
,
Lymph Node Excision
,
Pregnancy Complications, Neoplastic
,
Skin Neoplasms
,
Skin Transplantation
,
Skin, Artificial
,
Dermoscopy
pp.241-244
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2017215734
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31歳女性。幼少時より左足首に黒色皮疹がみられた。第1、2子妊娠中に皮疹の増大がみられ、出血も伴ってきたため、第2子出産直後に受診となった。初診時、左足内果に17×22mm大の不整形ドーム状に隆起する黒色腫瘤を認め、辺縁の一部には黒褐色斑を伴っていた。生検組織像より悪性黒色腫と診断し、拡大切除術と人工真皮移植を行うと同時に左鼠径センチネルリンパ節生検を施行した。病理組織学的に表皮から真皮浅層は表在拡大型悪性黒色腫で典型的な所見を呈したが、真皮内病変は悪性青色母斑に類似する組織像を呈していた。脈管浸潤がみられたため、予防的に左鼠径リンパ節郭清を追加し、インターフェロン単独療法を開始し、術後1年3ヵ月の時点で再発転移はみられていない。本症例の腫瘍の急激な増大と多彩な組織像を呈した理由としては、妊娠に伴い胎盤・胎児の発育に関与する成長因子の影響が考えられた。
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