特集 鑑別に苦慮した皮膚病(1)
臨床例
頭部に生じ、悪性黒色腫との鑑別に苦慮した基底細胞癌
島本 純子
1
,
大塚 俊宏
,
谷崎 英昭
,
黒川 晃夫
,
森脇 真一
,
辻 求
,
中嶋 安彬
1大阪医科大学 皮膚科学教室
キーワード:
基底細胞腫
,
外科的皮膚弁
,
黒色腫
,
人工皮膚
,
鑑別診断
,
生検
,
頭頸部腫瘍
,
頭皮疾患
,
皮膚腫瘍
,
免疫組織化学
,
皮膚鏡検査
,
皮膚外科
Keyword:
Carcinoma, Basal Cell
,
Biopsy
,
Diagnosis, Differential
,
Head and Neck Neoplasms
,
Immunohistochemistry
,
Melanoma
,
Skin Neoplasms
,
Surgical Flaps
,
Scalp Dermatoses
,
Skin, Artificial
,
Dermoscopy
,
Dermatologic Surgical Procedures
pp.407-410
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2016224757
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<症例のポイント>頭部に生じ、悪性黒色腫(malignant melanoma;MM)との鑑別に苦慮した基底細胞癌(basal cell carcinoma;BCC)の1例を経験した。自験例の臨床像は灰黒色結節で、ダーモスコピー像はblue-whitish veil様の変化と不整な血管構造を呈していた。これらの臨床所見はMMおよびBCCに共通する所見であるため、ダーモスコピー所見からは、両者の鑑別は困難であった。自験例はメラニン色素を豊富に含む腫瘍塊であり、部分生検(パンチ生検)では、典型的なBCCの病理組織像が得られなかったことから、術前にはMMの可能性を考えた。しかし、全切除標本では腫瘍巣辺縁に柵状配列を認めたため、最終的には結節型BCCと診断した。自験例のように、臨床像、ダーモスコピー像でBCCとMMとの鑑別が困難な場合は、全切除生検または腫瘍の全体像が観察できるような部分生検が必要であると思われる。
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