特集 代謝異常症・沈着症
牛乳アレルゲン除去調製粉乳によるビオチン欠乏に基づくマルチプルカルボキシラーゼ欠損症を生じた1例
中村 有希子
1
,
中村 好貴
,
松本 貴志子
,
倉田 裕介
,
脇口 宏之
,
大賀 正一
,
武藤 正彦
1山口大学 大学院医学系研究科皮膚科学分野
キーワード:
Allergens
,
Biotin
,
マルチプルカルボキシラーゼ欠損症
,
欠乏性疾患
,
経口投与
,
乳児用調整乳
Keyword:
Administration, Oral
,
Allergens
,
Biotin
,
Deficiency Diseases
,
Multiple Carboxylase Deficiency
,
Infant Formula
pp.1242-1246
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016355247
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8ヵ月女児。顔面と陰部の紅色調発疹を主訴とした。牛乳アレルギーのため生後2ヵ月より牛乳アレルゲン除去調製粉乳の単独哺育が開始された。6ヵ月後に外陰部の紅斑・びらん、両眼囲・鼻孔・口囲の紅斑、頭髪の疎毛、高乳酸血症および代謝性アシドーシスを認めた。尿中有機酸分析を行ったところ、マルチプルカルボキシラーゼ欠損症(MCD)の所見と一致した。牛乳アレルゲン除去調製粉乳の単独哺育から6ヵ月後に発疹が出現していることから、ビオチン欠乏に伴うMCDと診断した。ビオチン1mg/日の経口投与を開始し、7日後に顔面の紅斑が消退し、外陰部のびらんも上皮化した。また、高乳酸血症、代謝性アシドーシスも改善した。その後もビオチンの内服と牛乳アレルゲン除去調製粉乳を継続し、発疹の再燃なく頭髪の疎も改善した。10ヵ月後の現在、乳製品を除去した離乳食が進んだため、ビオチンの補充は中止とし、成長障害も改善傾向にある。
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