臨床報告
眼内レンズ表面の細胞性沈着物が視力障害の原因となった1例
石川 伸之
1
,
雑賀 司珠也
1和歌山県立医科大学 眼科学教室
キーワード:
走査型電子顕微鏡検査法
,
再発
,
術後合併症
,
視覚障害
,
治療的洗浄
,
白内障
,
マクロファージ
,
免疫組織化学
,
超音波乳化吸引術
,
眼内レンズ移植
,
体内埋込み具の除去
,
CD68抗原
Keyword:
Cataract
,
Immunohistochemistry
,
Therapeutic Irrigation
,
Macrophages
,
Microscopy, Electron, Scanning
,
Recurrence
,
Postoperative Complications
,
Vision Disorders
,
Phacoemulsification
,
Device Removal
,
Lens Implantation, Intraocular
,
CD68 Antigen, Human
pp.981-985
発行日 2016年9月5日
Published Date 2016/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/J00293.2017076606
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63歳男。緑内障に対し線維柱帯切除、白内障に対し超音波水晶体摘出・アクリル製眼内レンズ(IOL)挿入術を施行していた。右眼の視力低下にてIOL挿入後の遅発性眼内炎と診断され、当院を受診した。抗菌薬の点眼・内服・硝子体内注射などの加療により、炎症は軽快し他院通院となっていた。IOL表面への沈着物の増加より右眼視力障害を生じたため、当院紹介となった。右眼前房内洗浄+IOL研磨を施行し、右眼視力は0.1から0.3と改善した。その後、軽微な前房内炎症とIOL表面への沈着物再燃を発症し、同年6月に右眼前房内洗浄+IOL研磨を施行した。術中に採取したIOL表面擦過物の塗抹標本の免疫組織学的染色では、マクロファージーマーカーであるCD68陽性の異物巨細胞を認めた。同年7月にIOL表面への沈着物再燃にて右眼視力50cm手動弁と低下していたため、約1週間後に右眼IOL抜去術を施行した。眼内レンズ表面は密なマクロファージ様の細胞の付着を認めた。その後は、右眼の視力回復および炎症の鎮静化を認めたため、右眼IOL縫着術を施行した。しかし、眼内レンズ表面に再度細胞付着と右眼視力低下を認め、右眼IOL抜去術を施行した。術後は右眼視力は改善した。
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