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症例1:77歳男。前医にて白内障による右眼視力低下により、白内障手術を受け、術直後は視力が1.0まで改善した。経過良好であったが、術後21日頃より、黄斑部網膜肥厚と視力低下が認められ、紹介受診した。視力は右眼0.5、左眼は0.8であった。右眼眼底像では視神経乳頭周囲の全象限に神経線維の走行に沿った放射状の網膜の白濁と中心窩反射の減弱がみられた。フルオレセイン蛍光眼底検査(FA)では、右眼は、毛細血管瘤による過蛍光と乳頭耳側の乳頭周囲網脈絡膜萎縮部の軽度過蛍光が認められた。左眼FAでは黄斑部にわずかな過蛍光が認められた。光干渉断層計(OCT)では、右眼の乳頭周囲全像限と耳側上下血管アーケードにまで達する広範囲の網膜分離を認めた。後部硝子体剥離(PVD)は認めなかったが、乳頭部に付着する硝子体組織像が認められた。白内障手術に伴う炎症性疾患の可能性から、ガスタンポナーデ併用硝子体手術を施行した。乳頭からPVDを作成し、可能な限りの硝子体切除とした。術後は経過良好で、硝子体手術後1.5ヵ月で矯正視力は1.2まで改善し、網膜分離は25ヵ月でほぼ消失した。症例2:63歳女。両眼の正常眼圧緑内障に対して、点眼治療中に右眼の視力低下を自覚した。視力は右眼0.15、左眼0.15で、右眼眼底像では中心窩周囲に放射状に広がる神経線維走行に沿った線条を認めた。OCTでは、右眼の乳頭周囲全像限の後極の広い範囲に網膜分離が認められるが、黄斑部網膜剥離やPVDは認められなかった。また、静的視野検査では、両目とも視野狭窄が見られたが、中心視野は保たれていた。右眼の視力低下が顕著であったため、白内障手術と硝子体切除を施行した。可能な限りのPVD作成と周辺部硝子体切除を行った。術後12ヵ月で視力は1.2まで改善し、黄斑部網膜分離の残存が認められるも次第に改善した。
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