臨床報告
レーザー治療で再発し嚢腫壁切除白内障同時手術で治療した原発性虹彩嚢腫
野村 真美
1
,
中島 基宏
,
花崎 浩継
,
菊地 善公
,
唐 小燕
,
嘉村 由美
1日本大学 医学部視覚科学系眼科学分野
キーワード:
虹彩疾患
,
再発
,
嚢胞
,
白内障
,
再治療
,
超音波乳化吸引術
,
眼内レンズ移植
,
超音波顕微鏡検査法
,
レーザー療法
Keyword:
Cataract
,
Cysts
,
Iris Diseases
,
Recurrence
,
Phacoemulsification
,
Retreatment
,
Lens Implantation, Intraocular
,
Microscopy, Acoustic
,
Laser Therapy
pp.489-493
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/J00293.2016381549
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67歳男。右眼の眼痛、羞明、霧視を主訴に受診された。視力は右眼0.4、左眼0.7で、右眼は虹彩の6時方向に嚢腫を認め、瞳孔は上方へ偏位し、毛様充血を認めた。超音波生体顕微鏡検査では、嚢腫前壁は角膜内皮と接触し、後壁は虹彩と水晶体を圧排していた。これらの所見より、原発性虹彩嚢腫と診断した。初回治療はレーザー治療を行い、嚢腫壁を穿孔し、眼球圧迫と嚢腫内液を排出したところ、嚢腫は縮小し、右眼視力は0.8に改善した。しかし、術後1.5ヵ月で穿孔部位の不明瞭、嚢腫拡大、視力低下を認めた。2回目のレーザー治療を行い、同様の方法で別の部位に前回よりも大きめに穿孔を行ったところ、嚢腫は縮小し、視力も回復した。しかし、術後2ヵ月目に再度穿孔部位の閉鎖、嚢腫拡大、水晶体後嚢下混濁を認め、術後4ヵ月で視力が0.2まで低下したため、根治治療目的で嚢腫壁切除と白内障の同時手術を行った。病理組織検査より虹彩実質嚢腫と診断した。術後は経過良好で、視力は1.2まで改善し、術後2年の最終観察時では再発や視力低下は認めなかった。
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