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78歳男。左眼の角膜びらんを主訴とした。細隙灯顕微鏡検査では左角膜上皮欠損を認め、左眼底は透見困難であった。点眼治療を行っていたが、左眼球の充血、突出、眼球運動障害を認めた。CT画像により、左眼窩内の上鼻側に腫瘤性病変、左眼窩内に腫瘤の被膜、辺縁に結節状の増強効果を伴う嚢胞壁を認めた。嚢胞内容物吸引を施行し、嚢胞内容物の細胞診はclassII、血清腫瘍マーカーは陰性であった。2週間後のCTでは嚢胞の再増大を認め、T1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号の内容物と増強効果のある嚢胞壁を認め、嚢胞状形態を示した。生検にて、嚢胞内容物の細胞診はclassIIIで、明らかに悪性の所見を認めたが、病理組織で確定診断に至らなかったため、眼窩嚢胞摘出術を施行した。腫瘍は大きくなっており、Hertel眼球突出計による測定により、右18mm、左2mmを示し、左は光覚なしであった。左眼窩内容除去術にて、眼球耳側後方に白色充実性腫瘍を認め、嚢胞がある内容物が摘出された。病理組織では上皮成分と間質成分からなる腫瘍を認め、部分的には明瞭な扁平上皮癌の成分も認められ、最終的にmalignant mixed tumorを疑った。転移性腫瘍の可能性から、FDG-PET-CTにて左眼窩と左肺に集積を認めた。胸腔鏡下左肺上葉部分切除を行い、腺癌と診断され、眼窩とは別起源であった。CTにて眼窩腫瘍の拡大を認め、内容除去術を施行した。病理診断にて原発不明の扁平上皮癌と診断した。さらに左上葉切除+郭清術を施行し、左眼窩の放射線治療を施行したが、涙腺部腫瘍の再発を認めた。化学療法を開始し、左眼窩内粘膜に真菌感染症が生じたため、眼窩消毒を週2回通院で行った。
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