臨床報告
EX-PRESS挿入術後濾過胞内に多量の色素散布をきたした1例
横山 弘
1
,
田片 将士
,
一色 佳彦
,
大草 直樹
,
三村 治
1兵庫医科大学 眼科学教室
キーワード:
眼房水
,
再手術
,
術後合併症
,
染料
,
白内障
,
緑内障-開放隅角
,
Mitomycin
,
超音波乳化吸引術
,
眼内レンズ移植
,
緑内障ドレナージインプラント
,
濾過胞
Keyword:
Aqueous Humor
,
Cataract
,
Coloring Agents
,
Glaucoma, Open-Angle
,
Reoperation
,
Postoperative Complications
,
Mitomycin
,
Phacoemulsification
,
Lens Implantation, Intraocular
,
Glaucoma Drainage Implants
pp.307-311
発行日 2016年3月5日
Published Date 2016/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/J00293.2016223874
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60歳男。開放隅角緑内障で近医にて加療されていたが、両眼眼圧コントロール不良のため紹介され、両眼超音波白内障手術+眼内レンズ挿入術+エクスプレス挿入術(マイトマイシン使用)を行った。左眼が高眼圧であったため、レーザー切糸術を行ったところ過剰濾過となり、前房深度は浅くなりエクスプレスは虹彩へ接触、先端が虹彩へ埋没した。同時に右眼も同様の状態となった。同日、再度診察したところ、左眼濾過胞内に術後初回診察時には認めなかった強膜弁を覆う広範囲の茶褐色の色素の散布が認められた。また、前房にも同色素と思われるものが浮遊していた。両眼の前房に粘弾性物質を注入し前房深度を回復したところ、眼圧は右眼8mmHg、左眼20mmHgとなったが、左眼は過剩濾過が続いたため、経結膜強膜弁縫合術を行ったところ、前房深度は回復し、眼圧コントロールも良好となった。しかし、左眼眼圧が上昇したためレーザー切糸術を予定したが、施行不可能であったため、濾過胞再建術を行った。2年経過現在、濾過胞内に散布された茶褐色の色素は残存している。
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