特集 上肢の骨壊死疾患治療-最新の知見-
Kienböck病に対する豆状骨移植術-その適応と治療成績について-
佐伯 将臣
1
,
山本 美知郎
1
1名古屋大学大学院医学系研究科人間拡張・手の外科学
キーワード:
キーンベック病(Kienböck’s disease)
,
豆状骨(pisiform)
,
血管柄付き移植(vascularized transfer)
Keyword:
キーンベック病(Kienböck’s disease)
,
豆状骨(pisiform)
,
血管柄付き移植(vascularized transfer)
pp.877-882
発行日 2023年8月19日
Published Date 2023/8/19
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000001486
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Kienböck病に対する血管柄付き豆状骨移植術は,Lichtman分類stageⅢBに対する治療方法として1982年に初めて報告された。その後,いくつかのケースシリーズにより,治療成績が報告されている。その内容は,画像所見においては,carpal height ratioやradioscaphoid angleで評価した手根骨のアライメント異常の進行の有無については報告により異なり,術後の手関節部における関節症性変化の発生を認めることが多いが,一方で,疼痛の軽減や患者立脚型機能評価において改善を認め,臨床所見は良好であるといったものである。また,その適応はLichtman分類stageⅢAもしくはⅢBにおいて勧められ,特に進行期のKienböck病に対する有効な治療法の選択肢の1つである。ただし,Kienböck病における他の手術治療と臨床成績を比較した報告はなく,手術法の選択についての見解を得るにはさらなる研究が求められる。
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