特集 上肢の麻痺と痛み
急性弛緩性脊髄炎に伴う上肢麻痺と痛み
土井 一輝
1
,
服部 泰典
1
,
坂本 相哲
1
,
曽根崎 至超
1
,
佐伯 侑治
1
1山口県厚生連小郡第一総合病院整形外科
キーワード:
急性弛緩性脊髄炎(acute flaccid myelitis)
,
腕神経叢麻痺(brachial plexus palsy)
,
神経移行術(nerve transfer)
Keyword:
急性弛緩性脊髄炎(acute flaccid myelitis)
,
腕神経叢麻痺(brachial plexus palsy)
,
神経移行術(nerve transfer)
pp.522-531
発行日 2022年5月19日
Published Date 2022/5/19
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000001010
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急性弛緩性脊髄炎は主に小児が罹患する上下肢弛緩性麻痺疾患であり,EV-D68,A71のウイルスの延髄・脊髄灰白質への感染症である。2016年,2018年とわが国ではパンデミックが起こった。感冒様症状で始まり数日後に四肢の非対称的運動麻痺を生じる。知覚障害はないが,疼痛は伴うことがある。診断はMRI T2画像での脊髄灰白質の高度陰影と脊髄液の細胞増多が特徴であり診断の根拠となる。治療は,ステロイド,ガンマグロブリン投与などを行うが効果は不確実であり,多くは永続的運動麻痺を残す。麻痺が6カ月以上継続する場合は神経移行術の適応となる。上肢麻痺に対する神経移行術の成績について肘屈曲再建は良好であるが,肩機能再建には麻痺筋分布の種類により差がある。短期の治療の対応はできたが,長期にわたる患肢の成長,変形および日常生活動作のリハビリテーション(以下,リハビリ)は今後に残された問題である。
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