綜説
急性弛緩性脊髄炎
奥村 彰久
1
1愛知医科大学小児科
キーワード:
急性弛緩性脊髄炎
,
エンテロウイルスD68
,
神経伝導速度
,
MRI
,
サーベイランス
Keyword:
急性弛緩性脊髄炎
,
エンテロウイルスD68
,
神経伝導速度
,
MRI
,
サーベイランス
pp.1455-1462
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000606
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わが国では2015年秋にエンテロウイルスD68感染症の流行に伴って,急性弛緩性脊髄炎が多発した.症例は小児がほとんどで,呼吸器症状の先行が高率であった.麻痺は2日程度でピークに達し,その分布は単麻痺から四肢麻痺まで多彩で,麻痺の左右差が高率であった.神経生理学的検査ではM波の導出不能や神経伝導速度の低下を伴わないM波の振幅低下が特徴的であった.脊髄MRIでは長大病変が特徴的で,脊髄病変の範囲と麻痺の分布とに乖離を認めることが多かった.運動麻痺の予後は不良で,完全回復を認める症例は少なかった.2018年5月から,「急性弛緩性麻痺(ポリオを除く)」が五類感染症に追加され全数把握の対象になった.
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