特集 重症下肢虚血治療Strategy
治す 血行再建後の創傷治療
辻 依子
1
,
北野 育郎
,
寺師 浩人
1新須磨病院 形成外科・創傷治療センター
キーワード:
下肢
,
感染
,
虚血
,
肢切断術
,
創傷治癒
,
歩行
,
血管形成術
Keyword:
Amputation
,
Gait
,
Ischemia
,
Infections
,
Wound Healing
,
Angioplasty
,
Lower Extremity
pp.1174-1179
発行日 2017年11月9日
Published Date 2017/11/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018018056
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足壊疽を伴った重症下肢虚血(critical limb ischemia;CLI)は血行再建だけでなく、足壊疽に対するデブリードマンや切断などの創傷治療も必須であり、血流管理と創傷管理の両面からのアプローチが必要である。CLIの治療目標は単なる救肢ではなく、歩行できる足を残すことであり、1)歩行機能維持が可能なレベルでの切断、2)そのレベルで治癒可能な血行再建に加え、3)できる限り早く創を治癒させリハビリテーションを行うことが重要である。CLIの下肢末梢血行再建術は患者背景、下肢動脈の狭窄病変、創部の状態などを考慮し、血管内治療(endovascular therapy;EVT)あるいは外科的バイパス術を選択するが、低侵襲性やデバイスの進歩による治療成績の向上などから、CLIに対する血行再建術におけるEVTの割合は年々増加しており、それに伴い、われわれ創傷管理を担う医師でもEVT後の足潰瘍の治療の割合が増加している。EVTは外科的バイパス術と比較し、血行再建術後の再灌流血流量が少ない1)、中期・長期開存率が低い2)、Rutherford分類6や感染を伴う症例では治療成績が劣る3)、血行再建術後に感染が増悪することがある、などの問題点があり、外科的バイパス術とは異なる創傷管理が必要である。本稿では、歩行できる足を残すために必要な下肢血行再建術と創傷治療に加え、EVT後の足潰瘍の創傷管理について言及する。
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