特集 大動脈疾患を見直す
診る 画像で大動脈疾患をどうみるか エコー診断 急性大動脈解離におけるpoint-of-care超音波検査と応用アプローチ
中山 智子
1
,
西上 和宏
1済生会熊本病院 循環器内科
キーワード:
心エコー図
,
鑑別診断
,
超音波診断
,
大動脈瘤
,
動脈瘤-解離性
,
経食道心エコー図
,
ポイントオブケア検査
Keyword:
Point-of-Care Testing
,
Aortic Aneurysm
,
Aneurysm, Dissecting
,
Diagnosis, Differential
,
Echocardiography
,
Ultrasonography
,
Echocardiography, Transesophageal
pp.695-700
発行日 2017年7月9日
Published Date 2017/7/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017303044
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急性大動脈解離(acute aortic dissection;AAD)の治療は,救急の現場でしばしば遭遇する疾患であり,胸痛や背部痛の鑑別診断として常に念頭におくべき疾患である。特に急性心筋梗塞,急性肺動脈血栓塞栓症,AADはいずれも致死的疾患であるため,迅速かつ正確に鑑別することが患者の予後を左右するといっても過言ではない。AADの診断にはわが国ではほぼ100%近くCT検査が用いられているが,急変している場合や小規模施設ではCTを施行できない場合もある。また,痛みのない,非典型的症状のAADが少なくないため,低侵襲で迅速な診断を行うことができる超音波検査は,スクリーニングとして大変有用である。上行大動脈に解離腔が及ぶStanford A型であった場合,心臓血管外科と連携し緊急手術を必要とする。診断だけではなく,AADに伴う致死的合併症の検索を行うことも重要であり,大半は超音波検査を用いて検索できる。大動脈解離の合併症としては(1)心タンポナーデ,(2)胸腔内破裂,(3)大動脈弁閉鎖不全,(4)冠循環障害,(5)血流障害,(6)腹部内臓器血流障害などが挙げられる。また,経食道超音波検査は食道からのアプローチで大動脈の詳細な形態が観察可能であり,エントリーあるいは偽腔内の血流の有無を判断する,治療上の有力な情報となる。
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