特集 成人先天性心疾患 正確な患者評価から適切な治療へ
識る 抗凝固薬の適切な使い方
増田 慶太
1
1労働者健康安全機構横浜労災病院 循環器内科
キーワード:
チアノーゼ
,
血栓塞栓症
,
抗凝固剤
,
妊娠管理
,
心臓疾患-先天性
,
不整脈
,
ハイリスク妊娠
,
Fontan手術
,
人工弁置換術
Keyword:
Anticoagulants
,
Arrhythmias, Cardiac
,
Cyanosis
,
Heart Defects, Congenital
,
Prenatal Care
,
Thromboembolism
,
Fontan Procedure
,
Pregnancy, High-Risk
,
Heart Valve Prosthesis Implantation
pp.503-508
発行日 2017年5月9日
Published Date 2017/5/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017220951
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医学の進歩に伴って,先天性心疾患をもつ患者の予後は飛躍的に向上しており,成人期に到達した成人先天性心疾患(adult congenital heart disease;ACHD)患者の数は増加している。ACHD患者は複雑な解剖や手術歴,特異な血行動態をもつことが多く,年齢とともに心不全や不整脈をはじめ,さまざまな問題を生じ得るが,血栓塞栓症もそのうちの1つである。ACHD患者の脳梗塞発症率は一般人口と比べて10~100倍高く,その発症年齢も若いとされている。そのほか,静脈系の血栓塞栓症や心腔内血栓・人工構造物の血栓も生じる可能性がある。これらの血栓塞栓症に対処するためには抗凝固療法の使用が必要不可欠であるが,ACHD患者に抗凝固療法を施行するにあたっては,患者背景や病歴,解剖学的特徴を理解し,背景にある血栓・出血素因についても考慮しながら,適切な使用を検討する必要がある。本稿では,ACHD患者に抗凝固療法が必要となる病態として,(1)不整脈,(2)人工弁,(3)Fontan術後,(4)チアノーゼ性心疾患,の4つに焦点をあてて概説する。また,比較的若年者が多いACHD患者において,多く遭遇する妊娠と抗凝固療法の問題,近年一般成人領域で使用が拡大している直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant;DOAC)の使用についても言及する。
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