特集 スポーツ医学の画像診断 競技復帰を目指して
疾患別解説 手関節三角線維軟骨複合体(TFCC)
中村 俊康
1
1国際医療福祉大学 医学部整形外科学
キーワード:
感度と特異度
,
関節鏡法
,
関節造影
,
MRI
,
スポーツ障害
,
X線CT
,
手首外傷
,
三角線維軟骨
,
スポーツ復帰
Keyword:
Return to Sport
,
Arthrography
,
Athletic Injuries
,
Arthroscopy
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Sensitivity and Specificity
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Wrist Injuries
,
Triangular Fibrocartilage
pp.52-61
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.18885/J01843.2020011361
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手関節三角線維軟骨複合体(TFCC)は軟部組織であり単純X線写真では描出できないため,その損傷診断において自・他覚所見などと並んで関節造影とMRIによる画像診断が重要である。関節造影では橈骨手根関節造影と遠位橈尺関節造影を行い,TFCCの橈側slit損傷がある場合には橈骨手根関節から遠位橈尺関節に向かって造影剤の漏出を認める。また尺側断裂がある場合にはTFCC尺側からの造影剤の回り込みを認める。遠位橈尺関節造影では橈尺靱帯部に相当するTFCC近位面の損傷と尺骨小窩での剥脱を意味する造影剤貯留像に注意する。MRIではgradient echo(GE)法T2*強調像と脂肪抑制T1およびT2強調像でのTFCC描出性が高い。撮像方向は冠状断が有用で,TFCC内部の損傷や変性像の診断能力が高く,逆にslit損傷の描出は困難である。復帰にあたっては臨床症状の改善が主体で,手術の影響が残存するMRIでの判断は難しい。
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