臨床室
三角線維軟骨複合体潜伏断裂の2例
安部 幸雄
1
,
明石 浩介
1済生会下関総合病院 整形外科
キーワード:
関節可動域
,
関節鏡法
,
MRI
,
手首外傷
,
疼痛測定
,
三角線維軟骨複合体
,
視覚アナログ尺度
,
下橈尺関節
,
橈骨手根関節
Keyword:
Arthroscopy
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Pain Measurement
,
Wrist Injuries
,
Range of Motion, Articular
,
Triangular Fibrocartilage
,
Visual Analog Scale
pp.1161-1164
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015009309
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症例1は16歳女で、右手関節尺側部痛を主訴とした。MRI T2強調画像で三角線維軟骨複合体(TFCC)内部に高輝度像を認め、橈骨手根関節(RCJ)、遠位橈尺関節(DRUJ)の鏡視では異常を認めなかったが、TFCC実質部の掻爬を行い、TFCC内部の水平断裂を確認した。症例2は19歳女で、右手関節尺側部痛を主訴とした。MRI T2強調画像でTFCC実質部尺側と尺側小窩にかけて高輝度像を認め、DRUJ鏡視ではTFCC尺頭側に著明な毛羽立ちを認めた。RCJから実質部の掻爬を行い、水平断裂を認めた。2例とも術後3ヵ月から5ヵ月で握力と疼痛が改善し、スポーツや職場に復帰した。潜伏断裂の術前診断はMRIが不可欠であり、MRIで水平断裂が疑われ、RCJ、手根中央関節、DRUJの鏡視で疼痛の原因となる異常所見がなければ、実質部の掻爬を考慮すべきであると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2014