特集 手関節尺側部痛をきたす疾患の診断と治療
TFCC損傷に対する鏡視下capsular repair
安部 幸雄
1
,
藤井 賢三
1済生会下関総合病院 整形外科
キーワード:
関節可動域
,
関節鏡法
,
ギプス包帯
,
MRI
,
手関節
,
手首外傷
,
縫合法
,
関節包
,
治療成績
,
三角線維軟骨
Keyword:
Arthroscopy
,
Casts, Surgical
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Suture Techniques
,
Range of Motion, Articular
,
Wrist Injuries
,
Wrist Joint
,
Treatment Outcome
,
Joint Capsule
,
Triangular Fibrocartilage
pp.858-864
発行日 2017年8月19日
Published Date 2017/8/19
DOI https://doi.org/10.18885/J00282.2017355395
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はじめに
三角線維軟骨複合体(triangular fibrocartilage complex;TFCC)は,その解剖学的構造から実質 部と周辺部に分類でき,前者は手関節尺側の衝撃 緩衝体として, 後者は遠位橈尺関節(distal radioulnar joint;DRUJ),尺骨手根関節を制動す る靱帯としての機能を有する1)。実質部が損傷す ると,その断裂片が挟まることもあれば,TFCC 全体が歪むため疼痛の原因となり2),3),周辺部が損 傷すれば関節不安定性や,周囲の滑膜,神経組織 を刺激してやはり疼痛の原因となりうる。周辺部 はさらに尺骨小窩付着部や尺骨茎状突起付着部, すなわち骨に付着する部位と,関節包へつながる 掌側部および背側部に区分することができる。 このうち,尺骨小窩での断裂は著明なDRUJ不 安定性の誘因となり,付着部の骨への再接合が推 奨されている4)。一方,尺骨茎状突起付着部,掌 背側部の断裂は,それ自体は著明な不安定性をき たさないものの疼痛の原因となりうるため,関節 包への縫着(capsular repair)が推奨されている。 本稿では,その方法と成績について述べる。
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