特集 手関節尺側部痛をきたす疾患の診断と治療
陳旧性DRUJ不安定症に対するTFCC再建術
中村 俊康
1
1国際医療福祉大学 臨床医学研究センター
キーワード:
X線診断
,
関節鏡法
,
関節造影
,
関節不安定症
,
MRI
,
手首外傷
,
治療成績
,
三角線維軟骨
,
腱移行術
,
下橈尺関節
,
骨穿孔法
,
尺側手根伸筋
Keyword:
Arthrography
,
Arthroscopy
,
Joint Instability
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
,
Tendon Transfer
,
Wrist Injuries
,
Treatment Outcome
,
Triangular Fibrocartilage
pp.881-884
発行日 2017年8月19日
Published Date 2017/8/19
DOI https://doi.org/10.18885/J00282.2017355398
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TFCC損傷
三角線維軟骨複合体(triangular fibrocartilage complex;TFCC)は手関節尺側に存在する靱帯・ 線維軟骨複合体で,その機能は尺骨手根骨間の支 持性, 遠位橈尺関節(distal radioulnar joint; DRUJ)間の支持性,尺骨と尺側手根骨の荷重伝達・ 分散・吸収および手関節の複雑な運動性である1),2)。 TFCCの構成要素のうち,橈尺靱帯がDRUJの支 持性に重要な役割を演じる2)。 TFCCが損傷されるとTFCCの機能障害が生じ, 尺骨手根骨間・DRUJの不安定症,クッション機 能低下に伴い,尺骨手根骨間の圧上昇が生じるこ とや付随する滑膜炎によって手関節尺側部痛,回 内・外可動域(range of motion;ROM)および尺屈 の制限が生じる。回内・外運動痛と尺屈時の疼痛 が特徴的で,ドアノブや蛇口を捻ったときやタオ ルを絞った際の誘発痛を訴えることが多い3),4)。 DRUJ不安定症の自覚症状としては遠位橈尺関節 部のclick感や轢音として感じたり,手関節が緩い, 抜ける感じを訴えることが多い。程度がひどいと 軽いものを持った際に遠位橈尺関節が抜けるよう な感じがし,力が入らなくなる5)。
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