特集1 絶対苦手分野にしない 鼻副鼻腔病変の画像診断
[鼻副鼻腔CT・MRIレポート−私はこう書いている−]
副鼻腔炎
-粘液瘤
齋藤 尚子
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院 放射線診断学講座
キーワード:
粘液瘤(mucocele)
,
術後性嚢胞(postoperative maxillary cyst)
Keyword:
粘液瘤(mucocele)
,
術後性嚢胞(postoperative maxillary cyst)
pp.276-279
発行日 2023年3月26日
Published Date 2023/3/26
DOI https://doi.org/10.18885/CI.0000001196
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・粘液瘤は副鼻腔排泄路の閉鎖により分泌物が貯留し,副鼻腔の拡大をきたしたものである。緩徐な増大傾向を示す。
・原因から術後性,原発性,外傷性に分類される。術後性が80~90%,原発性が10~20%,外傷性が数%。術後性の大部分が上顎洞に生じる。原発性は前頭洞や篩骨洞に多く,外傷性は前頭洞に多く認められる。
・上顎洞術後性嚢胞はかつて鼻副鼻腔手術の主流であったCaldwell–Luc手術後に生じることが多く,閉鎖された洞内に残存した粘膜による粘液貯留が原因と考えられている。現在の排泄路造設に主眼をおくESSでは著明に減少している。
・病変の増大により生じる症状は局在によりさまざまである。主な症状は,上顎洞では頬部腫脹,圧痛,前頭洞では眼球突出,偏位,眼瞼腫脹,複視,前篩骨洞では複視,眼球突出,後篩骨洞や蝶形骨洞では複視,視力障害,視野障害などが認められる。
・治療はESSによる嚢胞開放が基本である。視機能障害や頭蓋内合併症,感染を認めた場合には緊急または早期に手術を行う。
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