特集1 絶対苦手分野にしない 鼻副鼻腔病変の画像診断
[鼻副鼻腔CT・MRIレポート−私はこう書いている−]
副鼻腔炎
-歯性上顎洞炎
齋藤 尚子
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院 放射線診断学講座
キーワード:
歯性上顎洞炎(odontogenic sinusitis)
,
インプラント(dental implants)
Keyword:
歯性上顎洞炎(odontogenic sinusitis)
,
インプラント(dental implants)
pp.272-275
発行日 2023年3月26日
Published Date 2023/3/26
DOI https://doi.org/10.18885/CI.0000001195
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・歯性上顎洞炎とは歯由来の炎症が上顎洞へ波及したものである。う歯などによる炎症以外に外傷やインプラント,抜歯などの歯科治療後,上顎洞に迷入した歯科材料も原因となる。
・上顎洞炎の約25~40%を占める。
・症状は鼻汁,後鼻漏,鼻閉,悪臭,頬部痛などがある。
・歯根部周囲の炎症である根尖病巣が歯性上顎洞炎を惹起するが,最近ではう歯よりも不十分な根管治療が原因のことが多い。
・原因歯は,第1大臼歯が最多で,次いで第2大臼歯,第2小臼歯,第3大臼歯(智歯)である。上顎洞底は第1小臼歯から第3大臼歯の位置にあるため,インプラント以外ではこれらの歯性感染により生じる。大部分が片側性である。
・歯性上顎洞炎の診断は,臨床症状,原因歯の存在,画像所見から総合的に行われる。
・歯性上顎洞炎が疑われた場合は,歯科受診を勧める。治療は根管治療が一般的である。保存的治療に効果がない場合には抜歯やESSの適応となる。
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