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【要 旨】
目 的:関節リウマチ(RA)における新規治療薬の導入が,実臨床においてどのように患者背景,治療選択,疾患活動性,機能障害に影響したかを明らかにする.
対象および方法:2012~2021年に実施された年次RA調査に参加した5,070例を対象とした.さらに,生物学的製剤(bDMARDs)/分子標的合成抗リウマチ薬(tsDMARDs)導入患者1,816例を縦断的に解析し,疾患活動性指標[Disease Activity Score-28 using CRP(DAS28-CRP),Clinical Disease Activity Index(CDAI)]および機能障害[Health Assessment Questionnaire Disability Index(HAQ)]の推移を評価した.統計解析には混合効果モデルおよび傾向スコアマッチングを用いた.
結 果:10年間でグルココルチコイド(GC)使用は40.5%から18.6%へ減少し,b/tsDMARDs使用は29.5%から53.2%へ増加した.平均DAS28-CRPは2012年から2015年にかけて急減し,その後安定した.CDAI寛解率は25.1%から48.1%に上昇し,HAQ中央値は0.69から0.25へ改善した.薬剤別では,腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬は初回導入例で短期効果が高く,インターロイキン-6(IL-6)受容体阻害薬は長期的有効性および継続率で優れていた.混合効果モデル解析では,CDAIおよびHAQにおいて年次改善傾向が統計的に有意であった.
考 察:過去10年間における治療薬の進歩は,実臨床においても疾患活動性と機能障害の改善に結び付いた.特にIL-6受容体阻害薬の高い継続率は実臨床での有効性を示しており,患者背景に応じた薬剤選択の重要性が示唆された.
結 論:RA治療はb/tsDMARDsの普及によりこの10年間で大きく前進し,疾患コントロールと機能改善が向上した.

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