内側型変形性膝関節症における内側近位脛骨角は外反ストレス下冠状面アライメント矯正に強く相関する因子である

Small medial proximal tibial angle is a radiographic finding strongly associated with less coronal alignment correction under valgus stress in medial knee osteoarthritis

【要　旨】

　目　的：内側型変形性膝関節症に対し，外反ストレス下臥位下肢全長アライメント矯正量と立位全長X線像で得られる放射線学的パラメータとの関係を検討した．

　対象および方法：人工膝関節全置換術（TKA）もしくは高位脛骨骨切り術（HTO）予定の115膝を対象とした．術前仰臥位外反ストレス下下肢全長X線像における外反ストレス下％ mechanical axis（％MA）およびその変化量に対して，術前立位下肢全長X線像で得られる％MAと内側近位脛骨角（MPTA）を含む放射線学的パラメータとの相関分析と重回帰分析を行った．

　結　果：外反ストレス下％MAは全X線像パラメータと相関した．重回帰分析により，外反ストレス下％MAと立位％MAおよびMPTAのみが有意に関連した．また，％MA変化量も立位％MAとMPTAが関係した．外反ストレス下％MAが30％，40％，50％まで矯正されるとした場合に，MPTAのカットオフ値はそれぞれ81.6°，83.5°，84.9°であり，同様に立位％MAのカットオフ値はそれぞれ10.7％，17.1％，25.1％であった．

　結　論：本研究の結果から，外反ストレス下下肢全長X線像を撮影できない場合でもアライメント矯正量を予測できた．MPTAが小さい症例では，外反ストレス下関節内矯正量が小さくなるため，人工膝関節単顆置換術（UKA）の矯正不足の一因となり，関節外矯正が可能な骨切り術やTKAの適応も考慮する必要がある．