Japanese
English
経験と考察
異なるアプローチにおける人工股関節全置換術後の靴下着脱・爪切り動作獲得の実際
Actual results of acquiring shoe and nail clipping skills after total hip arthroplasty using different approach
松田 匡弘
1
,
栗木 康介
2
,
井浦 国生
1
,
石原 康平
1
,
富永 冬樹
1
,
村上 剛史
1
,
山口 雄大
1
,
森 詩乃
2
M. Matsuda
1
,
K. Kuriki
2
,
K. Iura
1
,
K. Ishihara
1
,
F. Tominaga
1
,
K. Murakami
1
,
T. Yamaguchi
1
,
S. Mori
2
1福岡整形外科病院整形外科
2福岡整形外科病院リハビリテーション科
1Dept. of Orthop. Surg., Fukuoka Orthopaedic Hospital, Fukuoka
キーワード:
THA
,
antero-latera supine approach
,
ADL
Keyword:
THA
,
antero-latera supine approach
,
ADL
pp.21-24
発行日 2026年1月1日
Published Date 2026/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei77_21
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は じ め に
変形性股関節症の患者は,靴下の着脱動作と爪切り動作が困難とされており,人工股関節全置換術(THA)後には,これらの動作が可能となることで自立した生活が送れるようになるとされている.従来の後方アプローチTHA後に脱臼リスクが高い患者は股関節屈曲や内旋位が禁忌肢位となるため,これらの動作には自助具を用いたり,他者からの介助が必要となるが,医療者側もむしろそれを推奨してきた.しかしながら近年では,後方アプローチであっても,正確なインプラント設置や軟部緊張の確認により脱臼リスクが減じている.また,前方アプローチも同様に脱臼リスクが少ないことで,THA後の生活動作においても制限を加えない生活指導が普及してきている.
しかし,術後の日常生活動作(ADL)において「制限なし」と術者である医師が指示しても,患者と接する時間が長く責任を有するリハビリテーションスタッフや看護師にいかほど反映されているかは疑問であり,容易に情報が得られる現代において,患者自身がわざと脱臼リスクを試すような肢位をとっているのかは不明である.当院では,術後リハビリテーションにおいて靴下着脱・爪切り動作の獲得をADL訓練で獲得できるように指導しており,本研究ではTHA後早期に靴下着脱・爪切り動作がどれほど可能であったかを調査したので報告する.

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