アナトミカルデザインインプラントを使用したrestricted kinematic alignment total knee arthroplastyは患者本来の下肢冠状面アライメントを回復させる

Restricted kinematically aligned total knee arthroplasty with an anatomically designed implant can restore constitutional coronal lower limb alignment

【要　旨】

　目　的：本研究の目的は，① アナトミカルデザインインプラントを使用したrestricted kinematic alignment total knee arthroplasty（rKA-TKA）は患者本来の下肢冠状面アライメントをどの程度回復できるか，および ② どのような下肢アラインメントパラメータが患者立脚型評価と関連しているかを明らかにすることである．

　対象および方法：アナトミカルデザインインプラントを使用したrKA-TKAを受けた60例を対象とした．術前および術後に，mechanical lateral distal femoral angle（mLDFA），medial proximal tibial angle（MPTA），hip-knee-ankle angle（HKA），joint line obliquity（JLO），posterior tibial slope，knee flexion angle（KFA），矢状面JLO，arithmetic HKA（aHKA）などのアライメントパラメータをX線評価した．臨床評価には，Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index（WOMAC）を使用した．

　結　果：術前後でmLDFA，MPTA，aHKAは有意に変化しなかった．術後WOMAC合計スコアは，KFA（r＝0.4063，p＝0.0034）および矢状面JLO（r＝－0.3435，p＝0.0157）と相関していた．術後KFAは，術後WOMAC合計スコアの増加の関連因子であった（r＝1.416，p＝0.003）．

　結　論：アナトミカルデザインインプラントを使用したrKA-TKAは，患者本来の下肢冠状面アライメントを回復できるが，術後KFAおよび矢状面JLOはWOMACと関連していた．術後KFAはWOMAC不良の危険因子であり注意が必要である．