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【要 旨】
目 的:本研究は関節リウマチの中手指節(MP)関節形成術後患者における手指の自動運動を3次元解析し,シリコンインプラント破損の要因を検討することを目的とした.
対象および方法:AVANTAシリコンインプラントを用いて示指~小指のMP関節形成術を施行した関節リウマチ患者6例9手(手術時平均年齢68歳)を対象とし,母指以外の指を最大伸展状態~最大屈曲の動作を4次元CTで撮影した.定性的解析として,最大屈曲時のインプラントの変形を矢状面で観察し,インプラントの変形に応じてgroup 1~3に分類した.定量的解析はsurface registration法を使用し,移動行列から中手骨に対する基節骨の動きを定量化した.インプラントのヒンジ部分を基準に3次元座標軸を定義し,屈曲に伴う基節骨の骨軸の位置の変化,および回転軸(helical axisで評価)の変化を3次元で検証した.
結 果:定性的評価の結果,19指がgroup 1に分類され,屈曲に伴いシリコンインプラントは移動して遠位ステムの基部に歪みは生じていなかった.12指がgroup 2に分類され,このgroupでは遠位ステムの基部に歪みが生じていた.3指がgroup 3に分類され,シリコンインプラントはすでに折損していた.定量的には,基節骨の骨軸は屈曲に伴い背側から掌側に変位し,さらに近位方向に移動していた.回転軸の位置はヒンジよりも背側および近位側に存在し,屈曲に伴ってさらに近位側および掌側に移動していた.
結 論:MP関節の屈曲に伴い基節骨が掌側および近位側へ並進運動していることが観察され,遠位ステムの基部に負荷がかかることがインプラント破損の一因と考えられた.インプラントが骨内で軸方向に動けば掌側方向への負荷は軽減されるが,近位方向への負荷は許容されずインプラントに直接かかるため,深屈曲動作は破損のリスクであると示唆された.
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