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胸椎転移性腫瘍に対する姑息的手術の成績
-――全周性除圧と後方除圧の比較
Comparative study of circumferential decompression and posterior decompression in palliative surgery for metastatic thoracic spinal tumors
大槻 文悟
1
B. Otsuki
1
1京都大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medicine, Kyoto University, Kyoto
キーワード:
metastatic tumor
,
thoracic spine
,
palliative surgery
Keyword:
metastatic tumor
,
thoracic spine
,
palliative surgery
pp.1319-1322
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_1319
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【要 旨】
目 的:麻痺を有する胸椎転移性脊椎腫瘍に対する姑息的手術では,脊椎の安定化を目的とした後方インストゥルメンテーションとともに脊髄の除圧が行われることが多い.本研究の目的は,圧迫性の脊髄病変に対し,後方椎弓切除のみでよいのか,脊髄前方の腫瘍切除を行う全周性除圧を行うべきか否かを明らかにすることである.
対象および方法:2012~2018年に麻痺を有する胸椎転移性脊椎腫瘍に後方除圧固定術を行った連続した症例を対象とした.術式として後方椎弓切除のみ行っているA大学病院の45例と,常に全周性除圧を行っているB大学病院の34例を後ろ向きに調査した.改訂Frankel分類を用い,術後の麻痺の改善と再悪化に関与する危険因子を検討した.
結 果:麻痺の改善に関与する因子は術後の補助化学療法施行であり,逆に麻痺の改善を阻害する因子は術前放射線治療であった.麻痺の再悪化の危険因子は高齢,術前の放射線治療であった.除圧の術式は臨床成績に影響を及ぼさなかった.
結 論:胸椎転移性腫瘍に対する後方除圧固定術において,脊髄前方腫瘍の切除は臨床的予後を必ずしも改善しない.
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