Japanese
English
特集 整形外科医療安全のすべて
Ⅱ章.手術における医療安全対策
7.脊椎内視鏡下手術の安全性
Medical safety in orthopaedics:safety of endoscopic spine surgery
二階堂 琢也
1
T. Nikaido
1
1福島県立医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Fukushima Medical University, School of Medicine, Fukushima
キーワード:
medical safety
,
endoscopic spine surgery
,
incident
,
complication
,
learning curve
Keyword:
medical safety
,
endoscopic spine surgery
,
incident
,
complication
,
learning curve
pp.585-590
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_585
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
脊椎内視鏡下手術は,脊椎手術における革新的な進歩として,近年大きな発展を遂げている.本手技は患者の負担を軽減しつつ,従来法と同等もしくはそれ以上の治療成績を達成することが可能である代表的な低侵襲手術といえる.内視鏡を用いることで,特に腰背筋への侵襲が少なく,手術後の疼痛軽減,回復期間の短縮,早期社会復帰が期待できる.そして,現在では除圧だけでなく,固定の手技も内視鏡下に可能となり,その適応が拡大し,進化している.一方,技術の進化とともに,手術の安全性を確保することの重要性が増している.特に脊椎内視鏡下手術には特有の学習曲線が存在し,熟練を要するため,その安全性をいかに担保するかは臨床上の大きな課題である.手術中のインシデントや合併症の発生は,低侵襲性の利点が一瞬にして失われるだけでなく,患者の状態を手術前より悪化させるリスクを伴う.
本稿では,脊椎内視鏡下手術の安全性に焦点をあて,施行状況やインシデント発生状況の現状分析を通じて,より安全な手術手技への発展の可能性を考察する.また,手技の習得に伴う学習曲線とその克服方法についても検討し,内視鏡下脊椎手術の質の向上に貢献する知見を共有する.
© Nankodo Co., Ltd., 2024