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特集 整形外科医療安全のすべて
Ⅱ章.手術における医療安全対策
4.術中神経モニタリングの実際
Intraoperative neuromonitoring for spinal disorders
吉田 剛
1
G. Yoshida
1
1浜松医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Hamamatsu University School of Medicine, Hamamatsu
キーワード:
intraoperative spinal cord monitoring
,
motor evoked potentials
,
neurological complication
Keyword:
intraoperative spinal cord monitoring
,
motor evoked potentials
,
neurological complication
pp.570-574
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_570
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は じ め に
脊椎手術に伴う神経合併症は,もっとも脊椎外科医が危惧する合併症の一つである.その発生率は脊椎手術全体で約1%との報告1)があるが,実際に高リスク手術,脊椎変形,脊髄腫瘍,後縦靱帯骨化症などでは13~31%と報告されている2~4).術中脊髄モニタリングは神経障害を未然に予知し,その予防に効果があることが知られている.中でも経頭蓋刺激運動誘発電位(transcranial stimulation motor-evoked potentials:Tc-MEPs)はその運動障害の予測に感度,特異度ともに高く,脊椎脊髄手術を施行する手術室で広く普及している5~7).一方,患者にとっては神経障害を予測するのではなく,その予防こそが重要である.そのため,実際の手術では脊髄モニタリングのアラームが出現し,どのような対応策が神経障害の予防に有用であるかを理解することが重要となってくる8).進歩するさまざまな種類の脊髄モニタリング方法の理解と,アラームにおけるチームの情報共有と対応こそが外科医,麻酔科医,看護師,工学技師などの手術チーム,そして患者にとってきわめて重要である.
本稿では,アラーム発生時の対応と主要な高リスク脊椎脊髄疾患での術中モニタリングの実際について症例を提示しながら解説する.
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