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関節リウマチにおける費用と治療効果に関する患者満足度に影響を与える因子
-――多施設共同観察研究Fukuoka Rheumatoid Arthritis Network(FRANK)レジストリー
Factors affecting patient satisfaction related to cost and treatment effectiveness in rheumatoid arthritis:results from the multicenter observational cohort study, FRANK Registry
藤原 稔史
1
,
平田 明恵
2
,
中島 康晴
1
,
FRANK registry group
T. Fujiwara
1
,
A. Hirata
2
,
Y. Nakashima
1
,
FRANK registry group
1九州大学整形外科
2九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター
1Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medical Science, Kyushu University, Fukuoka
キーワード:
observational study
,
patient satisfaction
,
RA
Keyword:
observational study
,
patient satisfaction
,
RA
pp.487-491
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_487
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【要 旨】
目 的:関節リウマチ(RA)は低疾患活動性や寛解を維持できるようになった.しかし,患者治療満足度は医療者側との乖離があることが報告されており,どのような因子が患者満足度に関与しているかを知る必要がある.
対象および方法:福岡近郊の病院・クリニックの多施設共同前向き研究としてRA患者の観察研究Fukuoka Rheumatoid Arthritis Network(FRANK)レジストリーを開始した.初回登録されたRA患者2,235例を対象に,患者満足度に関与する因子を解析した.患者満足度は費用・治療・日常生活動作(ADL)・全体の4つに分けて取得した.患者状態(年齢,罹患期間),治療薬,骨関節手術歴,疾患活動性(圧痛関節数,腫脹関節数,CRP),さらに生活の質(QOL)を評価するEuroQol 5-dimensions(EQ-5D)を解析した.
結 果:患者満足度は費用,治療,ADL,全体とすべて75%以上が「やや満足」以上とおおむね良好であった.多変量解析でそれぞれの満足度に影響を及ぼす因子を調べた.加齢は費用と全体の満足度を上げるが,治療とADLの満足度を低下させた.EQ-5Dの低下はすべての満足度を低下させ,疾患活動性の上昇はすべての満足度を低下させた.骨関節手術の既往で費用満足度は上がるが,ADL満足度を低下させた.生物学的分子標的合成疾患修飾性抗リウマチ薬(b/tsDMARDs)の使用は費用満足度を下げるが,治療とADLの満足度を上げた.
結 論:疾患活動性とQOLの改善は患者満足度向上に重要であり,患者満足度を考慮しながらRA診療を行うべきである.
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