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【要 旨】
目 的 本研究の目的は内側広筋(vastus medialis:VM)と大腿浅動脈(SFA)および大腿浅静脈(SFV)との位置関係を検討し,subvastusアプローチにおける大血管損傷リスクを評価することである.
対象および方法 下肢CT静脈造影を行った80例の患者の80肢で検証を行った.膝蓋骨上縁のレベルより近位スライス(0/10/20/30/40mm)において,VM,SFA,SFVの位置関係を構造物と水平基準点との間の角度を測定し評価した[それぞれVM angle(VMA),femoral arterial angle(FAA),femoral venous angle(FVA)].またVMとSFAおよびSFVとの距離[VM-動脈間距離(VM-arterial distance:VMAD),VM-静脈間距離(VM-venous distance:VMVD)]を測定することにより,VM,SFAおよびSFVの位置関係を評価した.膝蓋骨上縁のスライスとVM後縁がSFAに接触するスライスとの間の垂直距離でVM後縁とSFA/SFVの近接度を評価した.垂直距離を目的変数として単回帰分析と重回帰分析を行った.
結 果 スライスが近位に移動するにつれて,VMAは有意に増加し(24.9°±8.5°,36.3°±8.8°,47.4°±11.8°,59.9°±14°,70.3°±13.7°,全スライス間でp<0.001),内側方向から後内側に移動した.FAA(94.2°±7°,86.9°±9.2°,78.4°±9.7°,71.4°±9.8°,66.6°±10.5°,全スライス間でp<0.001)とFVA(100.6°±4.9°,98.3°±5.9°,93.7°±7.5°,88°±9.2°,81.1°±10.5°,全スライス間でp<0.001)が減少し,後外側から後内側方向へ移動し,VMAD(35.4±7.8mm,24.1±7.3mm,14.3±6mm,8.4±7mm,6.2±6.3mm,全スライス間でp<0.001)とVMVDは有意に減少した(42.7±7.3mm,32±7.4mm,22.4±6.8mm,14.5±10.6mm,8.7±7.1mm,全スライス間でp<0.001).平均垂直距離は36±9.3(範囲18.6~61.5)mmであった.身長と膝蓋骨長は垂直距離に有意な影響を与えた.
結 論 VMの後縁は遠位から近位に向かって後内側に移動し,膝蓋骨上縁から平均36mmの位置でSFAに接触していた.外科医は骨切りだけでなく,術野を展開する際に大血管損傷のリスクがあることを認識すべきである.
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